「万が一の保障に備えながら、満期まで貯蓄もできるお得な保険」のイメージのある貯蓄型保険ですが、補償額や返戻金の計算の仕組みが分からず、なんとなく入っている場合もあるのではないでしょうか?
今回は、「保険+投資が一緒になった、貯蓄型保険」と、「保険+投資を自分で分けて購入」の2パターンでの費用とリターンを実際に比較して、貯蓄型保険にメリットがあるのか検証します。
比較条件(共通前提)
今回の条件は、30歳から生命保険(死亡保障)に30年間加入して、定年を控えた60歳時点で、支出に対してお金がどう増えるのか比較します。
| 項目 | 条件 |
|---|---|
| 期間 | 30年(30〜60歳) |
| 死亡保障 | 2,000万円 |
| 毎月の支出 | 約3万円 (31,000円) |
① 貯蓄型保険の場合
貯蓄型保険として、価格コムで一番の終身保険である、オリックス生命「終身保険 RISE(ライズ)」を例に計算します。
実際に価格コム経由で見積してみました。
契約内容(実例)
- 死亡保険金:2,000万円(終身)
- 月払保険料:31,000円
- 払込期間:30年(現30歳のひとが60歳まで)
支払総額
毎月31,000円=年間37万2千円 → 30年間で 1,116万円
60歳時の解約返戻金(想定)
2026年1月時点のオリックス生命のオンライン見積の結果はこちら。
| 解約時点での契約期間 | 払戻率 | 解約払戻金 |
| 20年(途中解約) | 82.4% | (支払額744万円に対して)613万円 |
| 30年(満期) | 127.1% | 1,419万円 |
| 40年 | 142.7% | 1,593万円 |
中途解約だと、払戻率は100%未満、つまり支払金額よりも少なくなります。
満期を超えると、払戻率は100%を超える、つまり支払金額よりも高い金額が返ってきます。
ただし、ここで注意ですが、解約した場合は以降の保障はなくなります!
貯蓄機能があるといっても、老後にお金が必要になって満期後に解約しても、保障がなくなってしまいます。
※2026年1月時点のオリックス生命のオンライン見積りより。
② 掛け捨て保険+投資信託の場合
死亡保障2,000万円を確保
掛け捨ての生命保険は、価格コムで最安だった、オリックス生命の定期保険Bridge [ブリッジ]で計算します。
保険料は年齢によって価格が変わるので、加入する30歳~60歳の中間、45歳で見積した結果がこちら。
- 死亡保障:2,000万円
- 月額保険料:約5,100円
投資に回せる金額
毎月31,000円 − 保険料5,100円 = 25,900円
保険料を差し引いた毎月25,900円で投資信託をつみたてます。
投資信託の結果(年7%想定)
投資信託のリターンは、厳しめにみて平均年利7%と想定して計算すると、
30年後のリターン総額:3,029万円
(内訳は、元本 932万円+運用収益 2,096万円=総額 3,029万円)
③ 結果を比較
30歳から生命保険(死亡保障)に30年間という、同じ前提で、「貯蓄型保険」と「掛け捨て保険+投資信託」に加入した場合の、60歳時点でのリターンの差はこちらです。
| 項目 | 貯蓄型保険 | 掛け捨て保険+投資信託 |
|---|---|---|
| 月額 | 31,000円 | 31,000円 |
| 死亡保障 | 2,000万円(終身) | 2,000万円(30年) |
| 保険+投資の30年支払総額 | 1,116万円 | 1,116万円 |
| 30年後のリターン | 1,419万円 | 3,029万円 |
| 増加額 | +303万円 | +1,913万円 |
30年後のリターンは、「貯蓄型保険」は1,419万円、「掛け捨て保険+投資信託」は3,029万円。つまり、「貯蓄型保険」よりも「掛け捨て保険+投資信託」の方が、リターンが1,610万円高くなりました。リターン総額の差は約2倍です。
結果をどう見るか?
総額リターンは、自分で投資した方が圧倒的に高い
貯蓄型保険と比べると、掛け捨て保険を支払ったとしても、自分で投資した方が圧倒的に30年後のリターンは高くなりました。
現在はネット証券で、自分で直接、オルカンなどの手数料の安い優良な投資信託を購入できるので、自分で投資した方がよいでしょう。
投資は「お金が減るリスクもある」が、貯蓄型保険も「中途解約だと払戻率100%未満」
投資(投資信託)では、株式相場によっては元本割れ(お金が減る)リスクがあります。
一方で貯蓄型保険は、中途解約だと払戻率は100%未満、つまり支払金額よりも少なくなります。
いずれの場合も、数年レベルだと損する可能性があるので、10年~20年以上の長期間加入し続ける前提で考えるべきでしょう。
貯蓄型保険は終身保険(払い込み済み)だから安心?
今回の貯蓄型保険は、満期まで加入すれば払い込み済みになり「終身保険なので安心」というイメージもあります。
しかし、満期後の保障とリターンをよくよく見てみると、
- 満期(60歳)以降も加入していれば、「保険料は不要で、保障は得られる」
- 満期(60歳)以降に解約すれば、「100%以上の払戻率がある(=貯蓄機能がある)」
つまり、「貯蓄型保険」といいつつ、「貯蓄 or 保険」のどちらかを選ぶ必要があります。
満期後を考えると・・・?
じゃあ、満期(30年)後は具体的にどうすればよいのか?
貯蓄型保険の場合は、解約する or 継続するかの2パターンです。
掛け捨て保険+投資の場合は、1パターンです。
| 満期(30年)後の選択肢 | 貯蓄型保険 | 掛け捨て保険+投資 |
| 満期で解約の場合 | 貯蓄:リターンは少ない 保険:終了 | 貯蓄:リターンは多い 保険:終了(掛け捨て) |
| 満期後も継続の場合 | 貯蓄:ない(契約中は払い戻せないので、自由に使えない) 保険:継続 | 貯蓄:リターンは多い 保険:終了(掛け捨て) |
投資の場合、30年後は支払総額よりも1,913万円増えました。(貯蓄型保険よりも1,610万円高い)
この1,913万円は、「自分用の生命保険としてとっておく」ことができます。
つまり、投資で増やしたお金は、貯蓄としても保険としても、自由に使えます。
一方で、貯蓄型保険は、「貯蓄 or 保険を選択する必要がある」ので自由度が低いです。そして貯蓄として考えると、自分で投資した方が金額は高くなります。
※先ほど説明した通り、特に短期間の投資では元本割れのリスクもあるので、老後が近づいたら投資信託ではなく、普通預金などの元本保証の口座に移動するべきですが。
まとめると
契約期間内の保険の面で考えると、
- 必要な補償額の保険を選べば、保障額は 貯蓄型保険 = 掛け捨て保険
満期(30年)後の貯蓄(投資)の面で考えると、
- 満期後のリターンは圧倒的に 貯蓄型保険 < (掛け捨て保険+)投資
満期(30年)後の保険の面で考えると、
- 貯蓄型保険 は、保険 or 貯蓄(金額は少ない) を選択する必要がある
- 掛け捨て保険+投資 は、保険にも貯蓄にも自由に使える
最後に
保険も貯蓄もできるお得なイメージのある貯蓄型保険について、保険と貯蓄の両面で、「貯蓄型保険」と「掛け捨て保険+投資」のどちらがお得か実際に比較してみました。
保険金は同等の条件であっても、貯蓄型保険は「貯蓄(投資)としては、リターンが少ない」「満期後は保険 or 貯蓄(金額は少ない)を選択する必要がある」と、保険と貯蓄の両面でデメリットがあることが分かりました。
貯蓄型保険は「保険も貯蓄もできる安心””感””」はありますが、実際の金額には圧倒的な差があります。
保険・貯蓄(投資)、それぞれを自分で選んで、長期的な実際のメリットを享受したいですね。

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